2022/10/17 22:35
みなさま、いかがおすごしでしょうか。
株式会社リネンラボラトリーの多田和弘です。
今日、触れたいのは【なぜ、近江=麻産地 なのか】という事。
こちらもよく聞かれる質問の一つです。
結論から言ってしまえば、それは【湿度】に関係があります。
この事だけで、今日のブログはほぼおしまいです(笑)。
麻はとても強い繊維で、耐水性にも優れていることから、織物だけでなく蚊帳・ロープ・弓矢の弦や鼓の紐など、機能が求められる場面で必ず必要とされてきました。
昔は消防車のホースが麻でできていたほど。
現代では軽さや製造効率なども考慮されポリエステルなどの他の繊維に代わっていますが、それほどまでに麻は【機能的な天然素材】だったと言えると思います。
その反面、実は苦労もあります。原因は【乾燥】
製織(糸から織物)までの工程においては麻は乾燥に弱く、空風(からかぜ)の吹く時期にはわざわざ糸を湿らせて織ることもあるほど、織ることは綿などの他の繊維に比べると非常に手間がかかり、難しいんですね。
そういった背景があり、麻の産地には湿度が潤沢であることが求められ、雪深い越後や能登、琉球の亜熱帯性の多湿な気候など、それぞれ麻織物に適していると言われています。
“近江の麻”の湖東産地は、滋賀県の「水がめ」びわ湖の東岸に位置し、遠くには鈴鹿山脈を望んでいます。
豊かな水を湛える湖面からの湿潤な空気(霧)と、鈴鹿山系から湧き出る清らかで豊富な水量の「愛知川」が産地のまん中を流れるなど、自然の恵みの中で発展してきた産地なんですね。
自然との融合があってこその【近江麻】
僕もこの地に来て、今からもっともっと深い部分を学んでいけたら、そんな風に思います。
余談ではありますが、僕は【三方よし】という近江商人の精神が大好きです。
『売り手よし、買い手よし、世間よし』
つまりは共存共栄だと思っています。
それは自分が年を重ねるにつれて、大切な言葉になってきているような気がします。
この地の自然、職人、お客様、全てに感謝をしながら、精進していきたいなと思います。