2022/09/27 00:01
みなさま、こんばんは。
株式会社リネンラボラトリー代表の多田和弘です。
先日、初めてブログを投稿したところ、意外にも?見てくださっていた方がたくさんいた事にびっくり。
見てほしいような、見てほしくないような気持ちの狭間で始めたのですが、やはりお客様と繋がっている感覚はとても嬉しいです。
今日は近くの機屋さんと定例の勉強会。
年期の入った手は僕の手ではありませんよ(笑)。
僕が麻織物の産地である滋賀県に移住してきた理由の一つに【技術の継承】があります。
その中でも今日は【織物の設計】について。
みなさまがご存知のとおり、
原料→糸→生機→染め→加工→完成
という大まかな流れにはなりますが、→の部分にもスポットが当たりづらいですが、とても大事な工程が含まれています。
例えば、糸から生機(染めたり加工する前のカチカチの生地)になる工程、
そこには【織物設計書】が必要なんです。
どこのメーカーの糸を何kg買って、どういう配合で、どういう織り組織で、どういう密度で、染めや加工での縮みも計算に入れながら、、
文字で起こすと簡単に見えますが、とてもクリエイティブな仕事です。
もちろん数字への強さも必要です。
なぜなら、その設計書たった1枚でどんな顔のリネンになるか決まってしまうから。
リネンは天然素材であるがゆえに、毎年同じ品質の原料が調達できるとも限りませんし、
湿度によっても織りやすさが変わるため、設計書通りにいかない事もしばしば。
だからこそ、何十年という経験こそが最後はモノをいう、先人は僕にそう言います。
例えば設計書は料理のレシピみたいなものかもしれません。
良い食材(原料、糸) と 良い調味料(染め、加工) を扱うにはレシピが必要です。
例えが上手いかどうかはさて置き(笑)、要は影に隠れているけど必要不可欠なことがあるっていうこと。
ベルギーリネンとかフレンチリネンだとかでウンチクを書いてしまいがちですが、それって実は当たり前の事なんです。
なぜなら、市場に流通している9割のリネンは、原料はベルギー産かフランス産なんですから。
約1万kmも遠く離れたヨーロッパから、どういうルートを辿り、どういう思いで各国の職人たちが携わって、どういう思いを持った人の元に届けられていくのか。
そこにモノづくりの面白さ、リネンの浪漫があるんじゃないかなぁと僕は思っています。
これから、あなたのお手元に丁寧に織られたリネンが届いたら、年期の入った電卓とルーペを思い出していただけると、とても嬉しいです。